国土交通省 2015年度予算 閣議決定
政府は1月14日、2015年度予算案を閣議決定しました。そのうち国交省住宅局関係の予算としては1,837億円が計上され、高性能な木造住宅や建築物に対して支援を行う「地域型住宅グリーン化事業」(110億円)、高齢化の著しい密集市街地において防災対策や生活支援機能等の整備を進める「密集市街地総合防災事業」(24億円)、また低所得の高齢者、障害者、子育て世帯向け賃貸住宅を提供するための空き家改修を支援する「住宅確保要配慮者あんしん居住推進事業」(25億円)などが新たに創設されました。
政府はこの予算案について、通常国会での審議を経て3月末までの成立を目指しています。
長期優良住宅・認定低炭素住宅は最大120万円補助
新たに始まる「地域型住宅グリーン化事業(グリーン化事業)」は、昨年度まで実施された「地域型住宅ブランド化事業(ブランド化事業)」と「住宅のゼロ・エネルギー化推進事業」を統合させた後継的な事業として、地域における良質な木造住宅の生産体制を強化するための支援制度です。対象となる住宅には、ブランド化事業において対象となっていた長期優良住宅に加えて、認定低炭素住宅およびゼロエネルギー住宅が加わりました。
制度の利用に当たっては、ブランド化事業と同様に、年間供給が概ね50棟未満の工務店、建材流通事業者、製材事業者などでグループを構成し、「地域型住宅」生産の基本方針やルールの提案を行います。そして、国交省によって採択を受けたグループの工務店が認定低炭素住宅やゼロエネルギー住宅、長期優良住宅を供給する場合に補助が行われます。ブランド化事業と同様に、工務店の複数グループへの重複登録が可能ですが、1工務店当たりの上限棟数は未発表です。
補助額は、建築工事費のうち住宅を高性能にするための掛かり増し費用の2分の1かつ建設工事費の1割以内で、長期優良住宅および認定低炭素住宅の場合は100万円、ゼロエネルギー住宅の場合は165万円が上限と定められています。さらに、産地証明などがなされた地域材を柱・梁・桁・土台の半分以上に使用した場合には、それぞれ上限額が20万円上乗せされ、長期優良住宅および認定低炭素住宅は120万円、ゼロエネルギー住宅は185万円となります。
また、今回は非住宅建築物も補助対象として加わりました。地域性に配慮した木造の認定低炭素建築物などが対象で、補助額は掛かり増し費用の2分の1かつ床面積1㎡当たり1万円を上限としています。
改正省エネ基準への適合が必須に
4月からは新しい省エネ基準である「H25住宅省エネ基準」が完全施行となります。これに伴い住宅性能表示基準も改正され、長期優良住宅の認定に当たっては、これまでの「省エネルギー対策等級」に代わり「断熱等性能等級」への適合が必要となります。認定低炭素住宅ではさらに「一次エネルギー消費量等級」への適合が必要で、グリーン化事業の補助を受けるためには、いずれのタイプの住宅でも外皮平均熱貫流率や一次エネルギー消費量の計算が必要となります。
長期優良住宅の認定には、断熱性に加え、耐震性や劣化対策、維持管理対策に関する基準をクリアする必要がある一方、認定低炭素住宅に求められるのは断熱性とエネルギー消費量に関する基準のみとなり、ゼロエネルギー住宅と比べても建築費用は抑えられます。しかしながら、グリーン化事業の補助限度額やフラット35Sの金利優遇においては長期優良住宅と同等の条件が適用されます。認定低炭素住宅は国の認定を受けた省エネ住宅というお施主様への訴求力もあり、取り組みのメリットは魅力的と言えます。
なお、グリーン化事業の詳細な内容については4月中旬頃に発表となる見込みです。
(※ナイスビジネスレポート 2015年 2/1号 引用)