住宅の構造材や部材以外にも、居住空間の中で木はいろいろなところで使われています。また、最近ではたくさんの人が集まるコミュニケーションの場を演出する木の施設が注目されています。日本人の歴史を見ると木をうまく利用し、長くつきあってきたことが分かります。その長い経験が現代にも生かされ「やはり日本人は木の建物」という声も多く聞かれます。「落ち着きのある」「すごしやすい」、快適性の高い生活・住環境づくりに木が役立てられています。
 これは日本人に限らず、老若男女を問わず、人類共通かもしれません。そうした快適性には科学的にはどのような背景があるのでしょうか。ちょっと知っていれば、より快適な日常空間が得られるでしょう。

ふれれば分かる 木のあたたかみ

 風呂場のコンクリートやタイルの床に直接足を降ろすと冷たく感じます。木材に比べ熱の伝導性の高いコンクリートやタイルが急激に体温を奪うからです。こんな時には木製の“スノコ”がお勧めです。温度や熱の変化が伝わりにくい木材は、暮らしの中で直接足や手が触れるところに使用することで、快適性も向上します。

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床材料の違いによる足の甲の温度変化

資料:山本 孝 他「木材工業」vol.22-1,P24,1967

 

有害な光をやわらかに

 紫外線は私たちの身体に悪い影響を与えることがあります。そのため、海や雪山ではこの有害な紫外線から目を守るためにサングラスをかけて目を保護します。
 木材は、波長の短い光・紫外線を良く吸収する一方、「温かみ」を感じさせる波長の長い光・赤外線を反射し、まぶしさを抑えます。こんなところも木の施設に“ここち良さ”を感じ、人が集まり、憩う理由かもしれません。

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木は目に有害な紫外線をよく吸収する

資料:「木を生かす」(財)日本木材備蓄機構

 

 

心地よく聞こえる音にコントロール

 木材は音を適度に吸収して、心地よく感じる音の範囲に調整してくれます。木材を使った部屋は「音がいつまでも響かず適度に反射する」ので音が聞き易いといわれます。

音をまろやかにする木(室容積と500Hz帯の残響時間の散布図)

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参考:社団法人全国木材組合連合会ホームページ